銀冠の特徴
銀冠は持久戦模様の将棋でよく現れます。
美濃囲い→高美濃→銀冠と発展し、美濃囲いの最終形態とも言える囲いです。
振り飛車だけでなく居飛車でも使われる囲いで、上部に手厚く端攻めに対応しやすいのが特徴です。
また、1七の地点を「銀冠の小部屋」と言い、終盤で玉がこの地点に逃げるとなかなか寄りづらいです。
追い詰められたときの緊急避難場所として使えます。
バランスもよく、堅さもそれなりにあるので、プロアマ問わず人気の囲いです。
弱点は下段
銀冠は下段に駒がほとんどありません。
特に桂馬を跳ねるとスカスカになってしまいます。
下段に飛車を打ち込まれて囲いの裏側から攻められるというのが銀冠での典型的な寄せのパターンです。金銀が働かずに玉が一気に追い詰められます。
3九の地点に底歩を打てばその筋は緩和できますが、そこで香車を3筋に打たれたり3五に桂馬を打たれると激痛です。
また、銀冠は作る最中が一番危険です。
これについては次の囲い方で説明します。
銀冠の囲い方
初手からだと手順が長くなるので、高美濃囲いで紹介した手順の続きから紹介します。
▲1六歩から
△3二金寄▲1五歩△9四歩▲2六歩△5一角▲9六歩△8四角▲2七銀△7三桂▲3八金 まで
以上が銀冠を構築する流れです。
銀冠を作るうえで一番気をつけたいのは2七銀と上がった瞬間です!
この瞬間は囲いの駒の連結がバラバラになり、瞬間的ではありますが非常に弱くなります。
銀を上がる前の囲いの強さを100とすると、銀を上がったこの瞬間は10に下がると思っていいくらいです。
玉の脇もがら空きでかなり危険な状態です。
この状態で相手から仕掛けられると強い戦いができないばかりか、攻め込まれたときに離れ駒をボロッと取られる展開にもなりかねません。
そうならないためにも銀冠を作る際は、銀が上がっても大丈夫なのかをしっかりと確認してから上がりましょう。
ちなみに金が3八に上がって囲いが完成すると、強さが100から150になるイメージです。
銀冠の総合評価
銀冠は堅さバランスともに優秀で、様々な局面に対応できる囲いです。
美濃囲いのとき弱点だった端も強化されるので、より積極的に強い戦いを起こすことが可能です。
ただし、囲うときに離れ駒ができるので、そのときに戦いを仕掛けられるとかなり危険です。
囲う際は細心の注意を払うようにしましょう。